住宅ローンの支払いが苦しくなった時に最も警戒しなければならないのが「競売」です。
競売を実施するにはある程度の期間が必要で、ローンを滞納してもすぐに自宅を取られるわけではありません。
本章ではローンの滞納が始まってから競売が実施されるまでの大まかな流れを見ていきますので、スケジュール面の全体像を把握しましょう。
ローンの支払いを滞納すると、ほどなくして金融機関から支払いを求める連絡が入ります。
単に支払いを忘れている可能性を考慮し、最初は電話や普通の手紙等で接触してくることが多いです。
それでも反応がない場合、あるいは最初から債務者に支払いの意思がない、もしくは支払いが難しい事情があると分かっていれば、督促状や催告書などの名目で通知を送ってきます。
督促状や催告書は内容証明郵便の方法で郵送されてくることが多いです。
督促にも応じられないでいると、債権者は貸し倒れに備えて行動を取りますから、このパートで事態が一気に進展します。
まず債務者宅には「期限の利益喪失通知」が届きます。
それまでは分割払いが認められていましたが、これによって債務者は残債務について一括で支払う責任が生じます。
分割でも支払いができない状態ですから、当然一括での支払いも無理でしょう。
そうすると保証会社が債務者に代わって金融機関に対しローンの残債を支払います。
これを「代位弁済」と言い、この通知も債務者宅に送られてきます。
これ以後は金融機関に代わり保証会社が債権者となるため、債務者は保証会社に対して一括での弁済義務を負います。
保証会社への弁済に応じられないと、保証会社は債務者の自宅を競売にかけるための手続きを裁判所で行います。
これを受けて、裁判所から債務者宅に自宅の差し押さえについての通知と競売開始決定の通知書が届きます。
このパートでのポイントは以下の通りです。
・債務者に一括弁済の義務が生じること
・債権者が代わること
・裁判所が関与して競売の手続きが始まること
ただし競売については手続きが始まっただけで、実施はまだ少し先の話になります。
このパートでは競売を主導する裁判所の動きがメインになります。
競売開始が決定されると、裁判所の執行官が債務者宅を訪れ、競売にかける自宅不動産の調査を行います。
不動産鑑定士がこれに同行し、競売物件の値段設定のために値踏みを行います。
調査の日程は事前に通知されますが、債務者の都合による日程の変更は受け付けません。
もし調査日に居留守を使ったり不在にしていてもカギ業者を使って開錠し、自宅に上がって写真を撮ります。
物件調査が済むと最低入札価格や入札期間についての通知が送られてきます。
入札期間の約一か月前には競売物件の公示が行われます。
公示ではネットや新聞等の媒体で競売物件が公開されるので、物件調査で撮影した写真や物件明細書、現況調査報告書などがだれでも見られる状態になります。
滞納から約1年後に、入札の形式で競売が実施されます。
公示によって広く物件情報が開示され、これに興味を持った購入希望者がそれぞれ希望価格を記入し入札します。
入札の期間は多くの場合1週間程度で、入札後には裁判所で開札が行われます。
入札者の中で最も高額で入札した人が「最高価買受申出人」の地位を取得します。
裁判所が問題ないと判断すれば、最高価買受申出人が「買受人」という立場に代わります。
買受け人が競売代金を裁判所に納めると、競売物件の所有権が正式に買受け人に移行します。
競売代金は債権者に配当されるので、住宅ローンの残債について債権を持つ保証会社に分配されますが、それでも残ったローンは引き続き返済の義務を負います。
本章では住宅ローンを滞納した場合に、競売までどのような過程をとるのか、流れの全体像を大まかに見てきました。
競売までの進行スケジュールは個別ケースで日程が多少ズレるので、ここでは一般的な流れとして捉えてください。
大体の目安として、競売が実施されるまでには約1年の期間を要するということがお分かりになったと思います。
競売を避ける手段として取られる「任意売却」は、理論上は入札開始直前まで可能ですが、実際には手続きに期間を要すので、滞納を開始したらできるだけ早く専門業者に相談する必要があります。
滞納7カ月目以降となり裁判所主導の物件調査が行われるステージがターニングポイントで、これ以降は任意売却成功の可能性がどんどん下がっていきます。
弊社では期間的余裕のないケースでも任意売却の成功実績が多数ございますが、成功の可能性を高めるためにもぜひお早めにご相談頂ければ幸いです。
また早めにご相談頂ければ解決の選択肢が増えるので、任意売却も含めより負担の少ない解決策をご提示できます。
経験豊富な弊社スタッフが丁寧にご事情を伺わせて頂きますので、いつでもお気軽にご相談くださいませ。