住宅ローンが残る自宅を相続するとどうなる?任意売却は可能?

日本で相続が起こると、多くのケースで相続財産に自宅などの不動産が含まれる特徴があります。不動産は売却して現金に換えることで遺産分割をスムーズにする効果があり、また相続税の支払い原資にも活用できます。相続事案において不動産は色々と活用の道があるので有効に利用したいものですが、住宅ローンが残っている不動産の場合は注意が必要です。

 

 

住宅ローンは相続の対象になる

相続の基本的なルールとして、現金や預金などのプラスの財産だけでなく、借金などマイナスの財産も引き継ぎの対象になるということは覚えておく必要があります。

住宅ローンも債務の一種ですので当然引き継ぎの対象となります。

 

そして被相続人の債務については、原則として各相続人が法定相続分に応じて責任を分担することになります。

仮に、遺産分割協議で負債の責任分担割合を変えたとしても、債権者は各相続人に法定相続分の責任を追及することができます。

ただし、相続人間の内部関係における約束自体は有効ですから、例えば特定の相続人が債務をすべて引き継ぎ、完済できれば問題は生じません。

 

特定の相続人が支払いを滞らせれば、債権者は上の通り各相続人に応分の負担を求めることになります。

住宅ローンも債務の一種ですので原則としては上記の通り各相続人が応分の負担を請け負うことになりますが、実際には各種保険でカバーされ、相続人の負担が生じないこともあります。

 

次に住宅ローンが残る不動産を相続する際の3つのパターンを見ていきます。

 

 

住宅ローンが残る不動産相続の3つのパターン

パターン①団体信用生命保険が支払われるケース

被相続人が住宅ローンを利用して自宅を購入する際、団体信用生命保険への加入を義務付けられるケースがあり、この場合は原則として相続人にローン残債の負担は承継されないため、弁済の義務は生じません。

 

通称「団信」と呼ばれるこの保険は、住宅ローンを利用する人同士でリスクを分散させるもので、加入者が死亡したり高度障害を負うなどの事情が生じた場合、残った住宅ローンを全て肩代わりしてくれます。

団信加入者たる被相続人の死亡に伴い、残ったローンは全て保険で賄われるので、自宅不動産はローンのない綺麗な物件として相続することができます。

 

パターン②一般の生命保険に加入していたケース

住宅ローン利用時に団信の加入が義務付けられていない場合でも、被相続人が万が一のことを考えて別途生命保険に加入し、相続人となる者にローン残債の支払い原資を残そうと手当てしておくケースもあります。

団信の場合、保険金はローンの債権者に直接支払われますが、一般の死亡保険金は受取人として指定されている者に対して支払われます。

そのため、その保険金は原則として相続税の対象になってしまうので、この点に注意が必要です。

 

ただし、生命保険には一定の非課税枠があり、「500万円×法定相続人の数」までは相続税の計算において課税財産に含めなくても良いとされています。

法定相続人が3人いれば1500万円までの非課税枠が適用されるので、生命保険は住宅ローンの残債対策だけでなく相続税対策としてもよく利用されます。

一般の生命保険ではローン残債を全て賄えるとは限りませんので、足りない分は別途用意する必要があります。

 

パターン③保険による手当てがないケース

最後は団信や一般の生命保険による手当てが無いパターンで、この場合は冒頭でお話しした原則論に戻ります。

すなわち、自宅を相続するのであればローンの残債も引き継ぐことになり、各相続人は法定相続分の範囲でローン残債の支払い義務が生じるということです。

よくあるケースとして、長男など特定の相続人が自宅に住み続ける場合、遺産分割協議においてその者が自宅を相続する約束となるでしょう。

 

残ローンの支払い義務も長男が引き継ぐことにする場合、遺産分割協議書内でその旨を約すことになります。

しかし遺産分割協議における約束は債権者を拘束しないため、ローン債権者とは別途交渉して長男が代表して残ローンを支払うことについて了承を得なければなりません。

そうしないと冒頭でみた原則論の通り、各相続人は債権者から応分の支払いを求められることになります。

 

 

相続した住宅ローンの返済が難しければ任意売却を検討

相続はしたけれど、引き継いだ自宅のローン支払いが苦しくなった場合は売却も考えなければなりません。

オーバーローンの場合は通常の売却ができませんが、その場合でも任意売却という特殊な方法で自宅を売却することができます。

何も手を打たないと最終的に相続した自宅は競売にかけられ、市場価値よりも安い値段で買いたたかれてしまいます。

そうなる前に手を打つ必要があるので、住宅ローンの支払が苦しくなった時は速やかに任意売却に詳しい不動産業者に相談しましょう。

(参考記事)任意売却とは?基本的な仕組みやメリットについて

(参考記事)住宅ローン問題では「オーバーローン」と「アンダーローン」の見極めが重要

 

 

まとめ

この記事では住宅ローンが残る不動産を相続する場合の残ローンの扱いや注意点などについて見てきました。

基本的にローンの残債は相続対象になるので、相続を承認するかどうかを見極める大きなポイントになります。

ただし、各種保険でカバーされることも多いので、どの程度の責任が残るのか個別事案で精査する必要があります。

相続した不動産のローンの支払がきつい場合は任意売却も可能ですので、ぜひ当センターにご相談頂ければと思います。