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競売で売れなかったらどうなるの?

住宅ローンの支払を滞らせると、契約に従い抵当物件となっている自宅は競売にかけられます。競売は債務者が参加することはできず、価格交渉などは一切できません。

競売の行く末としては市場価値よりかなり安く買われて大損をするのが一般的ですが、もし買い手が付かなかった場合はどうなるのでしょうか。今回は、競売で買い手が付かなかった場合にどのような手配がなされるのか解説します。

 

 

期間入札は「高い者勝ち」で進む

競売の通常の進行においては期間入札が実施され、この進行において裁判所はまず最低入札価格を決定します。
購入を希望する入札者は、少なくとも最低入札価格を超える値段を記入して入札しなければなりません。

実際に競売物件を手に入れるには、他の入札者よりも高い値段で入札する必要があるので、これを意識して入札金額を考える必要があります。つまり、期間入札では「高い者勝ち」となるわけですね。

ただし、裁判所が決定した最低入札価格が割高だということもあれば、競売物件が老築化している、法令上の利用制限が多く魅力が無いということもあるかもしれません。

そういった理由で誰も入札に応じなかった場合、期間入札とは異なるルールで進められる特別売却が実施されることになります。

 

 

特別売却は「早い者勝ち」

期間入札で希望者が現れない場合、特別売却による競売が実施されます。

特別売却でも裁判所が最低価格(買受可能価額)を設定しますが、特別売却は期間入札と違って金額面でライバルと争う必要がありません。

金額ではなく、最も早く入札した人が買受ける権利を取得できるので、特別売却は「早い者勝ち」のルールだということが言えます。

特別売却の実施期間は法令上は3ヶ月が上限となっていますが、実際には裁判所の裁量で期間が決定され、二週間~1か月程度となることが多いようです。

 

ではこの特別売却でも入札者が現れなかった場合はどうなるのでしょうか。

 

 

特別売却でも売れなかった場合

特別売却でも入札者が現れなかった場合、裁判所は価格が高かったと考え、値段を少し下げて入札をやり直します。
概ね初回の最低入札価格から2割程度値を下げたうえで、もう一度期間入札からやり直すのです。

期間入札は高いもの勝ちで進められ、入札が決まらない場合はまた特別売却に移行し早い者勝ちでの決定を試みます。
それでも入札が決まらない場合、もう一度だけ値を下げて期間入札と特別売却を実施します。

つまり、期間入札と特別売却はそれぞれ最大3回実施されるということです。

ここまでしても購入希望者が現れないということは、その物件はもう市場価値がないものとして裁判所は競売を諦めます。

裁判所は民事執行法に基づき、競売を取消して競売物件は債務者の手元に戻ります。

 

 

自宅に住み続けられたとしても問題は残る

不動産としての価値を誰にも見出してもらえなかったということで、債務者は複雑な思いを抱くかもしれませんが、取りあえずマイホームは手元に戻ってくるので、これは良いことなのではないかと考える人が多いと思います。

ただ、現実はそうとも言えません。
ローン債務の返済義務は引き続き残っていますから、債権者は別の手段を使って債権の回収を考えることになります。

お給料など他の財産を差押えて債権回収の手を伸ばしてくることも考えられ、身の回りの財産的価値のあるものは取り上げられるということになるでしょう。

自宅に価値があればいくらかでも残債の充当に充てられますが、それが叶わなければ他の財産で全て賄わなければなりません。

そして、自宅を保有し続けるということは固定資産税などの税金の支払いも必要です。税金を滞納すると、その支払い債務は自己破産をしても免除されることはありません。

さらに、自分が死亡し相続が起きた際には、被相続人に責任のある債務は相続放棄をしない限り相続人に引き継がれます。

まるで呪いのように、自分だけでなく後の世代まで債務を残してしまうことになるので、非常に恐ろしいことです。

競売で買い手が現れなかったことは一見良いことのようにも思えますが、住み続けられることと引き換えに上記のような問題を残すことになるので、決して喜ばしいことではないのです。

 

 

まとめ

今回は競売で入札者が現れず、自宅が売れなかった場合はどうなるのかについて見てきました。

競売のシステム上、期間入札と特別売却という二つの仕組みを用い、少しずつ値を下げながらなんとか入札者が現れるのを待つことになります。

期間入札と特別売却を三回繰り返しても入札が決まらない場合は競売が取り消しとなり、自宅は債務者の元に返ってきます。これは決して喜ばしいことではなく、今後の生活がさらに苦しくなることを意味するので、必要に応じて自己破産などの選択を考える必要もあります。

できれば競売となる前に任意売却による解決を目指すことが勧められるので、早めに当センターにご相談頂ければと思います。早めにご相談頂くことで対処法の選択肢の幅が広がり、より有利な解決が可能になります。経験豊富なスタッフが丁寧に対応させて頂きますので、どうぞ安心してご一報を頂ければと存じます。