リースバックは自宅を売却したうえで賃貸して借り受ける手法です。
相続対策や生活資金の確保を目的に検討される他、住宅ローンの支払が難しくなり任意売却を検討しなければならないケースでも、自宅に引き続き住み続けるために検討されます。
売却して所有権を手放すことになるので、借り受けるための賃料設定については買い主の意向が大きく関わってきます。
今回は、リースバックを利用する場合の家賃について、相場や賃料設定のカラクリなどを解説していきます。
リースバックの場合は、通常の収益物件の家賃設定とは異なり、周辺の家賃相場が適用されないことに留意が必要です。
通常の収益物件の家賃設定に際しては、他の物件と賃借人の取り合いをするという事情から、周辺の家賃相場に左右されます。
しかし、リースバックの場合、売却後も住み続けたいと願う売り主がそのまま賃借人となるので、周辺の物件と取り合いになることがありません。
また、対象物件の買い手が家賃設定者になることもポイントです。
リースバックにおける買い手は投資目線で不動産を評価するので、儲けが出なければ取引に臨むことはありません。
このことから買い手側が有利な立場で賃料設定をしそうですが、必ずしもそうではありません。
買い手側は利益を出せる利回りを考え、売り手側もローンの支払負担よりも軽くなるような賃料を考えて交渉に臨むことになり、その駆け引き上でバランスが保たれます。
リースバックでは売却代金でローンを一括弁済することが条件になるので、ローン残債を賄うために売却金額を大きくすると投資家の出費が増える分、家賃を上げて利益を確保することになります。
ローン残債の額が小さくなるにしたがって必要な資金も少なくなり、売却代金が小さくて済む分、投資家の出費も抑えられるので家賃を下げることができます。
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では、利回りを考慮した家賃設定について、もう少し詳しく見ていきましょう。
リースバックにおける家賃設定は投資家が儲けを得るための「利回り」という指標を軸に考えることになります。
物件の売却金額に利回りを掛けて12で割ることで、月額の家賃が算出されます。
利回りが大きくなれば投資家の儲けが大きくなりますが、利回りが大きくなり過ぎれば売り手側のローンの支払額よりも家賃額の方が大きくなりうま味がなくなってしまい、取引は成立しません。
また、成立したとしても、高すぎる家賃では滞納のリスクがあるので、利回りは適度な率に抑える必要があります。
利回りはケースバイケースで上下しますが、概ね6%~10%程度を軸に考えられることが多いようです。
例えば、物件の売却金額が1000万円で利回り6%とすると、12か月で割れば月額賃料は5万円です。
利回りを倍の12%にすると、同様の計算で月額賃料も倍の10万円になります。
物件を購入する投資家としては、利回りを上げてより多くの儲けを出したいところです。
ここで、仮に売り主が抱えている住宅ローンの支払が月額7万円だとしましょう。
リースバックをした後の賃料が月額5万円であればローンの支払額よりも負担が下がるのでメリットを感じられます。
しかし、賃料が10万円ではローンの支払よりも負担が上がってしまうので魅力を感じることはできず、取引は成立しません。
ローンの支払が苦しくてリースバックを考えているのですから、無理やり取引を成立させたとしてもその後家賃を滞納することになるでしょう。
このようなことから、リースバックにおける家賃設定は購入する投資家の利益を出しつつも、売り主側にもメリットがある範囲に落ち着かせる必要があります。
上記の例で、売却金額1000万円、利回り6%で月額賃料が5万円だとすれば、投資家の年間の儲けは60万円です。
単純計算で1000万円の元を取るのに17年弱かかる計算になり、投資家がこれを良しとするか、もう少し利回りを上げて資金回収の期間短縮を図るか考えることになるでしょう。
儲けを追及して利回りを上げると売り手側のメリットがなくなり取引が成立しないので、売り手側がメリットを感じられる範囲で投資家が最大限の利益を出せる設定を考えることになります。
今回は、リースバックにおける家賃の相場や賃料設定の仕組みについて見てきました。
リースバックでは投資家である買い主と売り主の間でダイレクトな交渉が行われるため、周辺の家賃相場が適用されることはありません。
賃料設定においては売り主がメリットを感じられる範囲で、最大限投資家が儲けを得られる設定となることが多いです。
その際には「利回り」という指標が使われ、大体6%~10%程度が目安になります。
ローンの残債が大きいほど一括弁済に必要な売却金額も大きくなり、これに連動して家賃も高くなるので、少しでもローンの残債を減らす努力をしておけば有利にはたらきます。
リースバックについて詳しく知りたい方はこちらの記事も参考にしてください。
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