収入が減るなどして住宅ローンが払えなくなると、最終的に自宅は競売にかけられて大変な損をしてしまうことになります。
それを避ける手段として任意売却がありますが、周りに任意売却が可能な不動産業者がいない、ブラックリストに載るのは避けたい、売却金額面で1円も妥協したくないなどで、どうにかして通常の売却をしたい場合はどうすれば良いのでしょうか。
今回は、オーバーローンでも任意売却を避けた売却が可能かどうか見ていきます。
オーバーローンというのは売却予想額がローンの残債をカバーできず、抵当権を解除できないことから通常の売却が不可能となるものです。
任意売却によらず通常の売却を実施したいという場合、売却予想額とローン残債額の隙間を埋める自己資金の確保が必須になります。
ただ、ローンの支払いに窮するくらいですから、資金的に余裕がない中でどうやって資金調達をするかが問題です。
ローンの完済までには及ばずとも、通常の売却が可能になるだけの一時資金を獲得するための手段はいくつか考えられます。
(関連記事)住宅ローン問題では「オーバーローン」と「アンダーローン」の見極めが重要
親や親族、あるいは友人など、協力してくれる人がいれば事情を話して資金の融通を頼んでみることができます。
一人、二人からの融通では足りなくとも、人数を集めれば必要金額に達することができるかもしれません。
親族の場合は借り入れに際して利息を免除してくれる可能性もありますが、基本的には借り入れには利息が付くことと、当然ながら返済が必要になるので無理のない範囲にしなければいけません。
また、贈与として受け取る場合は贈与税の問題があるので、この点も留意が必要です。
贈与税は資金を受け取る側を単位とし、原則として、年間110万円を超える金額を受け取った場合に発生します。年間110万円までであれば基礎控除の範囲内のため贈与税はかかりません。
受け取る側が単位となるので、例えばAさんから50万円、Bさんから50万円、Cさんから50万円の贈与を受けた場合、AさんとBさんからの贈与までは贈与税がかかりませんが、Cさんからの50万円を受け取ると、総額150万円-基礎控除120万円=30万円が贈与税の対象になります。
契約している生命保険等で解約返戻金があるプランがあれば、保険を解約することでまとまった資金を確保することができます。
ただし解約となると保険としての機能が失われてしまうので、保険機能を残しておきたい場合は契約者貸付制度を検討します。
契約者貸付制度は、解約返戻金の枠内で貸し付けを受けられるもので、一般的な借り入れよりも金利が優遇されることが多いです。
契約者貸付は保険の解約ではないのでその機能を残せますが、返済が十分可能かどうか検討を要します。
勤め先で退職金の制度があり、退職までの期間が長くなければ会社に前借りの相談をしてみるのも手です。
事情を話して理解を得られれば特別に支給を受けることができるかもしれませんが、通常は退職金についてあまり柔軟な運用は期待できません。
社会保険料の負担など会社側に一定のデメリットが発生する可能性があるためです。
絶対に不可能というわけではないので、退職金制度がある場合は一度退職金支給規定を見直してみましょう。
手元にある財産で換金性のあるものを洗い出し、できるだけ高額で換金しまとまった資金確保を目指すこともできます。
株式などの有価証券類や、宝石、貴金属の類、骨董類、自家用車などは一番に検討対象になるでしょう。
ただ、不動産と違ってこうした動産類は大きな金額にはなりにくいので、数が多くないとまとまった額にはならないでしょう。
消費者金融などのノンバンクは、財務状態が悪くても比較的融通を利かせた融資が可能です。
迅速性もあることから借り入れを検討することもできますが、ノンバンクからの借り入れは避けてください。
ノンバンクの融資は金利が高く、確実に返済できないと金利負担が雪だるま式に増えて大変危険です。
このリスクを負ってまで任意売却を避ける利点はないと考えられますので、消費者金融からの借り入れは絶対に避けましょう。
今回は、オーバーローンでも任意売却を避けて自宅を売ることが可能かどうか見てきました。
原則論でいけばローン残債をカバーできないオーバーローンでは通常の売却は不可能ですので、どうしても通常売却を望むのであれば物件の売却代金にプラスしてローンを完済できる金額の資金を用意しなければなりません。
ここでは資金の調達方法をいくつか見てきましたが、一定のリスクやデメリットも考えられます。
ローンの支払いを焦げ付かせる前に早めに弊社にご相談頂ければ、事情をお伺いして通常売却を検討することもできます。
失敗した場合に備えて任意売却を視野に入れながらの売却プランのご相談が可能ですので、経験豊富な当センターにぜひご相談ください。