不動産は大きな非常に財産ですので、相続で自宅等を相続したら必要に応じて換価処分し、遺産分割や相続税の納税原資など幅広い用途に活用できます。
ただし、相続対象になるのが築古となった戸建ての場合、建物の古さだけでなく戸建てという特性も手伝って買い手が付きにくくなるため、スムーズな売却が難しいケースも出てきます。
このようなケースでは建物を解体して活用しやすい更地にして売りに出すことも検討されます。更地にすることにはメリット・デメリットがあるので、これらを押さえたうえで検討する必要があります。
戸建てでさらに築古となっている建物は需要がかなり弱く、買い手が付きにくいので不動産業者に仲介を敬遠されることもあります。
余計な建物をなくせば、利活用しやすい土地購入を考える需要層にダイレクトに訴求でき、売買取引がまとまりやすくなります。
中古の建物にかかる売買では契約不適合責任(旧瑕疵担保責任)という法律的にリスキーな問題に対処しないといけません。
土地にも契約不適合責任は関係しますが、建物と比較するとそのリスクは大きく下がります。
建物の内覧対応は鍵開けや照明の準備などが必要になりますが、土地だけであればそのような手間は発生しません。
現況確認だけであれば人の手配が不要なこともあります。
土地は建物と違い経年劣化が無いので基本的に年数経過による価値の減少が生じません。
「価値が下がる前に売らなければ」と売り急ぐ必要がありません。
土地は中古の建物と比べて利用用途の方向性を幅広く探ることができます。
売却を念頭に入れながらも、これが実現するまでの間の賃貸需要を探るといった活用も検討できます。
家屋の解体は意外に費用がかかります。
一般的な木造戸建てであっても100万円前後かかるので、費用面では大きな出費が出ます。
解体費用は木造<鉄骨<RC(鉄筋コンクリート)の順で掛かり増しになり、RCでは200万円前後と同条件による木造の二倍ほどになります。
意外な盲点になるのが固定資産税です。
建物が建っている土地は税の軽減措置が取られていることがほとんどで、本来の固定資産税評価額が6分の1もしくは3分の1換算で計算され、その分税金が安くなっています。
建物を解体するとこの軽減措置が外れてしまい、税金が高くなってしまいます。
土地によっては、建築基準法などの法律による規制を受けることがあります。
古い建物の場合、建築以後にできた法律の適用を受けず済んでいたものが、一旦建物を解体してしまうと新たな建物を建築する際に厳しい基準が適用されることがあります。
そのため以前の建物よりも狭い家しか建てられなくなってしまう可能性があります。
以上のように築古建物を解体して更地にすることについてはメリット・デメリットの両方があります。
特に固定資産税が高くなるデメリットを意識して、まずは古家付きで売りに出すのも一手です。
最近は古民家需要や趣味専用のセカンドハウスとして需要が増しているため、こちらに訴求することができるかもしれません。
また売り出し時に「解体費用応相談」と付しておけば、土地だけが目的の需要層にも訴求できます。
実際には、建物の状況や買い手の需要などを考慮して更地にすることの是非を総合的に考えていくことになります。
更地にするかどうか時間をかけて検討できるケースであれば良いですが、そうはいかない事案もあります。
例えば、相続税の納税資金としての活用を考える事案や、住宅ローンが残っている事案などです。
相続税の支払いは期限があり、これに間に合わないと不利益を受ける可能性があります。
住宅ローンが残っている場合は特に注意が必要で、残債の精算方法の検討を遺産分割協議と並行して進めなければならず、上手くいかないと自宅が競売にかけられてしまう可能性も出てきます。
当センターでは不動産の扱いに長けた専門スタッフがおりますので、住宅ローンが残る相続不動産の売却をスムーズに手配することが可能です。遺産分割協議が上手くいかない事情があれば相続問題に明るい弁護士が、また税金面で不安があれば相続に関わる税金に詳しい税理士が対応致します。
もし、通常の売却が難しいオーバーローンとなっている場合、任意売却という特殊な手法で売却を可能にすることもできます。
相続事案は個別ケースで状況を精査する必要があり、多方面の知識やノウハウを必要としますので、一つの窓口で全ての相談が完結する当センターをぜひご活用ください。
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今回は老築化した実家を相続する場合に、売却に望んで更地にすることの是非について見てきました。
売却前に更地にすることについてはメリット・デメリットがあるので、状況に応じてメリット面が強くなるようであれば更地にしても良いでしょう。
一般的にはデメリット面を考慮して建物付きで売りに出す検討がされやすいですが、ケースバイケースです。
この判断は不動産業者の腕にかかっているといって良いでしょう。
相続事案で住宅ローンが関係するような高難度の事案では一般的な不動産業者では上手く対応できないこともあります。
当センターは各方面の専門家と提携しており、難しい事案でもスムーズな対処が可能ですので、ぜひお気軽にご相談頂ければと思います。